フレイル と認知症の切れない関係が明らかに‼️

筋肉量が減少してはいけないのです。
長年のナゾが解けました。

筋肉が認知症発症をコントロールする!
~動かさないことで衰えた筋肉から分泌される有害分子を発見~

富山大学学術研究部薬学・和漢系/和漢医薬学総合研究所・神経機能学領域の、東田千尋教授と長瀬綸沙大学院生による研究により、記憶障害を発症する前の、

若齢のアルツハイマー病モデルマウスの骨格筋を萎縮させると、 それだけで認知症が発症するという現象と、 その原因となる骨格筋から分泌され脳に移行する分子が明らかになりました。

これまでの様々な研究により、運動不足と認知症の関連性は提示されてきたものの、骨格筋の萎縮が認知障害発症を引き起こすことを、直接証明した例はありませんでした。
本研究は、
骨格筋からのシグナルが脳機能をコントロールすることを示しただけでなく、
骨格筋にアプローチすることで認知症予防を目指す取り組みにもつながるものです。
本研究成果は、2021年10月17日に、科学雑誌Journal of Cachexia, Sarcopenia and Muscleの
オンラインサイトに公開されました。
概要
  記憶障害を発症する前の、若齢のアルツハイマー病モデルマウスに対して、後ろ肢を2週間不動化し骨格筋萎縮させると、それだけで認知症が発症した。

 萎縮した骨格筋から分泌される物質を調べた結果、 ヘモペキシンが分泌され、 それが血液を介して脳内に移行し、 神経炎症を介して認知症発症を早めていることが示唆された。

研究の背景
アルツハイマー病発症の危険因子に関する疫学的研究は数多くあり、遺伝的素因以外の危険因子として、脳挫傷、生活習慣病、喫煙などが示され、また危険低下因子としては、教育歴の長さ、運動があげられています。
運動することが認知機能に有益な効果を及ぼすことは、これまでの複数の疫学データ、臨床研究データから示唆されています。
逆に、加齢により筋量・筋力が低下する状態であるサルコペニアと認知症の併存率が高いことや、
長期入院により認知症発症リスクが高まることが報告されており、身体活動の低下が認知機能に影響を及ぼす可能性が考えられています。
しかし、
この認知機能低下の原因が骨格筋萎縮によるものかどうかを直接証明した報告はありませんでした。
骨格筋は、運動の中心的役割を担う器官であり、様々な物質を分泌することも知られています。
近年、運動により骨格筋から分泌が増し、骨格筋自体や他の臓器に有益な影響を及ぼす物質群(有益なマイオカイン類)に注目した研究が進んでいますが、私たちは、運動不足すなわち筋萎縮によってなんらかの悪いマイオカインが増加し、それが脳に達し、認知機能を障害するのではないかという仮説を立てました。
研究の内容・成果
アルツハイマー病モデルの5XFADマウスを用いました。このマウスでは、生後約6週でアミロイドβが脳内に蓄積し始め、
生後約16週で記憶障害が生じます。
本実験では、記憶障害が起こる前の12週齢のマウスに対して2週間のキャスト装着を行い、肢を動かなくすることにより筋萎縮を誘発しました(後ろ肢をギプスで固定)。
その直後、記憶障害を検討したところ、キャストを装着していないマウスでは記憶能力が正常でしたが、筋萎縮したマウスでは若齢にも関わらず記憶障害が発症していました。
このマウスの萎縮した骨格筋から分泌される分子を網羅的に調べた結果、特にヘモペキシンタンパク質が増加していることが分かりました。

筋萎縮したマウスでは、ヘモペキシンの量が骨格筋中でも、血中でも、脳の海馬でも増えていることが確認されましたので、おそらく骨格筋が萎縮すると、ヘモペキシンの合成が増して筋肉から分泌され、血液を介して脳まで到達すると考えられました。

そこで認知障害発症前のかなり若齢(6-7週齢)のアルツハイマー病モデルマウスの

脳室内に直接ヘモペキシンを2週間、連続的に投与したところ

記憶障害が発症しました。

さらに、このマウスの脳内で起きている変化を網羅的に調べた結果、神経炎症に関わる因子として知られているlipocalin-2(リポカリン2)が増加していました。
以上より、キャスト装着による骨格筋萎縮により記憶障害の発症が早まることを明らかにし、
その原因は、萎縮した骨格筋から分泌されるヘモペキシンが脳に作用することにあることを明らかにしました。